抗ダニ/ワクモワクチンの開発

 マダニとワクモは、いずれも吸血を行う外部寄生虫で、家畜衛生および公衆衛生上、大きな問題となっています。私たちは、これらマダニとワクモについて、ワクチンによる防除を目指し研究を行っています。

 

 

マダニの問題点とワクチンによる防除

 マダニは吸血の際に人獣共通感染症を含む様々な病原体の伝播を媒介し、家畜生産や公衆衛生上の深刻な問題となっています。ダニ媒介性脳炎や重症熱性血小板減少症候群(SFTS)、ボレリア感染症(ライム病、回帰熱)などのダニ媒介性疾病は社会的にも関心が高く、マダニ防除への注目が高まっています。

 マダニは吸血時に、抗血液凝固作用や免疫抑制作用を持つ様々な物質(唾液腺由来タンパク質など)を介して、長時間の吸血を維持し、病原体の伝播を促進しています。私たちは、マダニの吸血阻害、あるいはマダニの体内器官・組織に直接ダメージを与える抗ダニワクチンの開発を目的として研究を行っています。そのためにマダニ由来分子の探索、その遺伝子クローニングや性状解析を行い、ワクチン抗原として有望と考えられる分子について、その機能や病原体伝播への関与を調べています。得られたワクチン候補分子については、組換えタンパク質を作製し、動物に免疫を行い、マダニの吸血、産卵率、孵化率に与える影響などを観察し、医薬品への応用を検討しています。

 

 

ワクモの問題点とワクチンによる防除

 ワクモは鶏に寄生して吸血を行うダニの一種で、鶏に貧血や産卵率の低下などをひき起こし、養鶏産業に甚大な被害を招いています。またワクモは、様々な病原体を媒介する可能性も報告されており、家畜衛生および公衆衛生上、対応が必要とされる重要な害虫です。現在、ワクモの防除は鶏舎の洗浄や薬剤の散布により行われていますが、ワクモが鶏舎内の隙間に潜んでいると完全な駆除は困難です。さらに、薬剤耐性ワクモの出現も報告されており、新たな視点でのワクモ防除方法の確立が望まれています。私たちは、免疫応答による防除に着目し、抗ワクモワクチンの開発を行っています。これまでに様々なワクチン抗原候補タンパク質を同定しており、これらの機能解析や鶏を用いた免疫試験を行い、ワクチン抗原への応用を目指しています。また、ワクチン接種時に係る労働力やコスト面の負担を軽減させるため、ウイルスベクターを応用したワクチン開発についても検討しています。