【国際交流レポート10】モンゴルとの連携

2023/2/20

 

【国際交流レポート10】モンゴルとの連携

 

Raadan Odbileg先生@獣医学研究所・研究員

Nyamsuren Ochirkhuu先生@モンゴル生命科学大学獣医学部・講師

 

 モンゴルは畜産が主要産業ですが、今なお様々な家畜感染症が問題となっています。当教室は2005年以来、家畜感染症の疾病制御を目指して、モンゴルの研究者と共同研究を実施してきました。今回は、6年ぶりにモンゴルを訪れ、中断していたモンゴルでの共同研究再開の打ち合わせを行いました。

 

 Odbileg先生は、当教室でラクダや牛の免疫学研究に取り組み、2005年に学位を取得後に母国・モンゴルへ帰国し、現在は首都ウランバートルにある獣医学研究所で主にウイルスの研究を続けております。Ochirkhuu先生は、当教室でモンゴルやフィリピンでの家畜感染症の調査に取り組み、2017年に学位を取得後に帰国し、現在はモンゴル生命科学大学獣医学部の講師やリサーチコーディネーターを務めております。

 

 大学を訪れた時、Ochirkhuu先生は丁度、120名ほどの獣医学部3年生に対して炭疽及びブルセラ症(日本では共に家畜の監視伝染病のうち家畜伝染病指定疾患・共に人獣共通感染症)の講義を行っておりました。Ochirkhuu先生によると、昨年だけでもモンゴル国内で家畜の炭疽及びブルセラ症がそれぞれ100件以上発生し、残念ながらヒトの死亡例もあったとのこと、獣医学部学生に家畜由来の人獣共通感染症を知ってもらうことは非常に重要であると話していました。 現在モンゴル国内では、口蹄疫(家畜伝染病指定疾患)に加え、小反芻獣疫(家畜伝染病指定疾患)、ランピースキン病(届出伝染病指定疾患)、羊痘(届出伝染病指定疾患)も発生し、Ochirkhuu先生らは、地方の獣医師との連携により検査や対策を行っているそうです。大学に訪れた2日前までは、ウランバートルから1500km離れた地方まで赴き(移動には車で2日間必要とのこと)、現地対策会議を行ってきたところだそうです。また訪れた地区では、新たにマエディ・ビスナ(届出伝染病指定疾患)や山羊関節炎・脳炎(届出伝染病指定疾患)の流行も確認され、現地獣医師らと採取してきた診断用の検体も見せていただきました。 これらの家畜感染症は、現在日本では幸い確認されていません。

 

 しかし、近年の国際化に伴い様々な感染症の国内への流入の危機が指摘されております。当教室では、国内外の家畜の悪性感染症に対する新規制御を目指し、海外の研究機関と共同研究を行っていく予定です。

 

Ochirkhuu先生の講義風景

 

 

モンゴル生命科学大学獣医学部の研究室

 

左からOdbileg先生、Ochirkhuu先生、今内先生、Otgontuya氏