【活動報告】牛伝染性リンパ腫対策検討会

2025/7/25

 

【活動報告】牛伝染性リンパ腫対策検討会

 

 当教室では1970年代から長年にわたり、牛伝染性リンパ腫(旧名:牛白血病)の研究に取り組んでいます。現在は、今内 覚 教授、岡川 朋弘 招へい教員が中心となり、国立感染症研究所、株式会社ファスマックをはじめとして、国内の研究機関、臨床獣医師、農場とともに、牛伝染性リンパ腫の発症診断法・予測法に関する研究を実施しています。

 

 6月25~27日に、今内、岡川をはじめとする研究コンソーシアムのメンバーが鹿児島県を訪問し、鹿児島市内で開催された牛伝染性リンパ腫対策検討会および講習会ならびに、沖永良部島にて開催された牛伝染性リンパ腫研修会に参加しました。

 6月25日の牛伝染性リンパ腫対策検討会では、鹿児島県内の農業関係者の皆様に今内が「牛伝染性リンパ腫の現状とRAISING」という題目で発表を行い、国内における牛伝染性リンパ腫の発生状況や対策における課題、さらに我々が開発した牛伝染性リンパ腫の発症診断法・予測法であるRAISINGについて発表しました。続いて、岡川が「RAISINGの実用例紹介」と題して、RAISINGによる牛伝染性リンパ腫ウイルス(BLV)感染細胞のクローナリティ解析の技術開発、臨床診断への応用例を発表し、今後の研究展開についても説明しました。フロアからは、従来の感染診断法との違いに関する質問、RAISING法を用いた発症リスク評価法や疾病対策に関する質問、今後の研究内容に関する質問などをいただきました。

 6月26日の牛伝染性リンパ腫対策講習会では、臨床獣医師および生産者の皆様に今内が「牛伝染性リンパ腫ウイルス感染症の防疫戦略」という演題で招待講演を行いました。当初の予定を上回る70名の方々にお集まりいただき、鹿児島県内でのBLV対策への機運が高まっていることが感じられました。

 6月27日には、沖永良部島内の肉用牛繁殖農家をご訪問し、農場内での疾病発生やBLV対策の状況を伺い、RAISINGを活用した対策法についてご紹介しました。さらに、牛伝染性リンパ腫研修会では、今内先生が「牛伝染性リンパ腫を巡る情勢とRAISING」と題して発表し、島内の状況も加味した疾病対策の提案やRAISINGなどの新しい技術を用いた対策法について紹介しました。質疑応答では、島内の農場で多く見られるサシバエの対策やRAISING法を用いた地域での疾病対策に関する質問をいただきました。

 今回のご訪問をきっかけとして、今後さらに鹿児島県内の関係者の皆様との連携を深めながら、牛伝染性リンパ腫の発症診断法・予測法の研究開発に取り組み、和牛の安定的な生産・供給に貢献できるよう努めていきたいと思います。

 

 

鹿児島市内での牛伝染性リンパ腫対策検討会

 

 

 

鹿児島市内での牛伝染性リンパ腫対策講習会(招待講演)

 

沖永良部島内の農場訪問

 

 

徳之島地区牛伝染性リンパ腫研修会

 
 

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