プレスリリース・論文掲載情報
2026/10/1
感染症の予防・治療には多くの抗菌剤が使われています。一方、過剰な投与による薬剤耐性菌の出現が世界的な問題となっており、抗菌剤に代わる新たな予防・治療法の開発が求められています。当研究室では、動物感染症の新たな予防・治療法の開発に向け、プロバイオティクスが動物の免疫を調節する仕組みを解明する研究を進めています。
<これまでのプレスリリース・ニュース>
2025年10月31日
2021年1月18日
このたび、栄養・病理学研究所および雪印種苗株式会社との共同研究により、「乳酸菌が呼吸器感染症の重症化を抑制」する成果をまとめた論文がFrontiers in Immunology誌に掲載されました。本日、北海道大学広報を通じてプレスリリースを発表しました。
「人も牛も健康に! 乳酸菌が呼吸器感染症の重症化を抑制 ~肺胞マクロファージの働きを介してウイルス感染を軽減する可能性を示唆~」
これまでに、乳酸菌HOKKAIDO株や、代用乳を原料とする発酵代用乳を子牛に与えることで、下痢症の重症化を防げることを報告しました。また、発酵代用乳は農場での子牛の腸炎発生数や死亡例を減らし、下痢症対策に有効であることも確認しています(Kayasaki et al., 2021)。
興味深いことに発酵代用乳を使用した農場では、農家さんや獣医師から「下痢だけでなく、肺炎も減った」との声が寄せられていました。しかし、経口摂取したプロバイオティクスが肺炎にも有効かどうかは明らかではありませんでした。そこで本研究では、乳酸菌HOKKAIDO株のウイルス性呼吸器感染症に対する作用を調べるため、マウス感染モデルを用いて抗ウイルス効果を詳しく解析しました。その結果、同株を投与したマウスでは、感染後の生存率が向上し、体重減少が抑えられ、肺内のウイルス量も有意に減少しました。
乳酸菌HOKKAIDO株は、ヒト向けのヨーグルトにも使われているプロバイオティクスです。本研究により、同株がウイルス性呼吸器感染症の重症化を抑える可能性が示されました。今後、ヒトや子牛の呼吸器感染症を予防する新たな方法への応用が期待されます。
本研究成果に関する論文は、2026年9月21日にFrontiers in Immunology誌に掲載されました。
本研究は、日本中央競馬会特別振興資金助成事業、国立研究開発法人日本医療研究開発機構の「ワクチン開発のための世界トップレベル研究開発拠点の形成事業」(ワクチン開発のための世界トップレベル研究開発拠点群 北海道シナジーキャンパス〔北海道大学ワクチン研究開発拠点〕)などの支援を受けて実施しました。
過去のプレスリリース・ニュース
2026年5月1日
マダニの唾液はマクロファージ依存性に宿主免疫を抑制する~制御性T細胞の誘導を介したマダニの免疫回避機構の解明に期待~
2025年7月28日
ダニ媒介性脳炎ウイルスに対し、感染後の脳内からウイルスを排除できることを発見~血液脳関門を通過する抗体で高病原性脳炎ウイルスの治療の可能性~
2025年5月20日
イヌのがんに抗CTLA-4抗体治療が有効であることを初めて報告~イヌのがんへの免疫療法の適用拡大に期待~
2025年3月28日
牛リンパ腫発症予測診断技術RAISINGの精度の高さを証明 ~国内初の14研究機関による多施設検証試験を実施~
2023年12月27日
2023年10月5日
イヌの鼻腔内腺癌や骨肉腫に免疫チェックポイント阻害剤が有効であることを初めて報告 ~イヌ用抗PD-L1抗体による免疫療法の適用拡大に期待~
2023年6月23日
Combination therapy effective against canine melanoma – Hokkaido University
2023年6月2日
イヌ悪性黒色腫に対して放射線治療との併用で抗PD-L1抗体の効果が高まることをはじめて報告 ~イヌ用免疫チェックポイント阻害薬のより良い使用法の実現に期待~
2023年3月16日
PD-L1の阻害により既存のワクチン効果を増強 ~子牛のワクチンプログラムへの応用に期待~
2022年12月22日
Predicting the onset of bovine lymphoma ― Development of cancer screening technology
2022年10月21日
牛のリンパ腫発症を予測するがん検診技術を開発 ~発症予測法の実用化による畜産被害の軽減に期待~
2022年3月10日
母牛はわが身を削って子牛を出産する ~牛伝染性リンパ腫と分娩との関係,周産期 に疾病が多発するメカニズムの一端を証明~
2021年6月23日
北大定例記者会見にて発表「北海道大学動物医療センターにおけるイヌ免疫チェックポイント阻害剤の臨床研究」
2021年4月22日
New therapy target for malignant melanomas in dogs
2021年4月2日
Probiotics keep calves healthy, too!
2021年2月15日
続報・肺転移のあるイヌ悪性黒色腫に抗PD-L1抗体が有効であることをはじめて実証 ~イヌ用免疫チェックポイント阻害薬の実現に大きく前進~
2021年1月28日
Deeper insight into how tick spit suppresses cattle immunity
2021年1月18日
プロバイオティクスで子牛を下痢から守る~発酵哺乳飼料による子牛の腸炎防御効果を証明~
2021年1月14日
マダニ唾液が免疫チェックポイント因子の発現を誘導~マダニ媒介性病原体の伝播機序の解明に期待~
2020年12月22日
プロスタグランジンE2を介した免疫チェックポイント阻害薬の新たな耐性獲得機構の解明~新たな免疫療法への応用に期待~
2020年10月23日
生研支援センター 研究紹介「動物用バイオ医薬品実用化を可能とする大量生成技術の構築」
2020年3月16日
科研費 研究成果トピックス「動物の難病(がん・感染症)に対する創薬研究」
2019年12月25日
2019年農業技術10大ニュース選出「牛白血病の新たな制御方法、抗ウイルス効果の確認に成功-牛の難治性疾病に対する応用に期待-」
2019年8月7日
ウシの疾病に有効となる抗ウイルス効果の確認に成功~牛白血病などの新規制御法への応用に期待~
The drug combination effective against bovine leukemia
2018年4月2日
ヨーネ病の病態発生メカニズムを解明 ~家畜法定伝染病ヨーネ病に対する制御法への応用に期待~
Unraveling the immunopathogenesis of Johne’s disease
2017年8月25日
イヌのがん治療に有効な免疫チェックポイント阻害薬(抗PD-L1 抗体)の開発にはじめて成功~北海道大学動物医療センターにおける臨床研究成果~
New therapeutic antibody for dog cancers
2017年6月7日
牛難治性疾病の制御に応用できる免疫チェックポイント阻害薬 (抗 PD-1 抗体)を,抗 PD-L1 抗体薬に続き開発
Overcoming immune suppression to fight against bovine leukemia
2017年4月27日
